2006年の12月、Fedora Linux ディストリビューションは、最初の正式な Live CD をリリースしました。この Live CDは、アプリケーションをインテリジェントに選択したことによって、Fedora の最も優れた特徴を見事に表現しています。この Live CD は、多くのアプリケーションの他にいくつかのゲームを含んでいたり、Compiz3D デスクトップを使用していたり、また非英語圏のユーザーにも利用できるようになっていたりします。しかし私が注目したのは、David Zeuthenによる livecd tools でした。このツールを利用すると、Fedora をベースとする Live CD の作成や管理がいとも簡単にできるのです。
Zeuthen は Pilgrim の開発者です。Pilgrim は、OLPC (One Laptop Per Child) プロジェクト (「参考文献」に詳細情報へのリンクがあります) のための、USB フラッシュ・ドライブから実行できるシステム・イメージを作成します。Fedora LiveCD の作成に使用される livecd tools は Pilgrim を Python でリライトしたものであり、Red Hat EnterpriseLinux や CentOS、その他下流の Fedora ディストリビューションから Live CDを作成するために使用することができます。
独自の Live CD の作成に取りかかる前に、Fedora リリースがどのように構成され、配布され、維持管理されているかを理解する必要があります。Fedoraプロジェクトはパッケージを、公開アクセス可能な 2 つのリポジトリーに分けて維持しています。正式な Fedora 開発者によって維持管理されるリポジトリーは「core」リポジトリーと呼ばれ、コントリビューターやコミュニティーによって維持管理されるリポジトリーは「extras」リポジトリーと呼ばれています。リポジトリーは単なるパッケージの集合です。coreリポジトリーと extras リポジトリーの他に、Livna や FreshRPM など、いくつかのサードパーティー製のリポジトリーがあります。
Fedora Core ディストリビューションは core リポジトリーの全パッケージを含んでおり、最新版は Fedora Core 6 です。最初の正式なFedora Live CD は、Fedora Core 6 のパッケージと extras リポジトリーをベースにしています。livecd toolsは Fedora のextras リポジトリーに含まれるように既にプロジェクトに提出されています。(extras リポジトリーは Fedora7 がリリースされるまでには core リポジトリーにマージされる予定です。)
なぜ livecd tools は特別なのか
Live CD を作成する上で livecd tools を使う最大の利点は、livecd tools の設計ではツールと Live CD とが分離されていることです。LiveCD を作成するために必要なものは、一連の構成ファイルのみです。これらの構成ファイルは、Live CD 上に必要なパッケージのリストを含み、またLive CD が起動した時に発生するシステム構成のタイプを記述します。
カスタムの Live CD を管理する人に便利なように、こうした構成ファイルは RPM としてパッケージされ、独自のリポジトリーに置かれます。Fedoraディストリビューションとそのリポジトリーのバージョンが上がるのに合わせて、これらの構成ファイルを更新し続けることで、関連するパッケージを引き出すことができます。
Zeuthen は、このような RPM パッケージを 3 つ用意しており、いずれもカスタムの Live CD のベースにすることができます。これらのRPM は、派生バージョンの作成を支援する継承構造をとっています。fedora-livecd packageはユーザー・インターフェースを持たない最小限の Live CD です。fedora-livecd-gnome パッケージは fedora-base パッケージをベースにし、GNOME デスクトップを加えたものです。fedora-livecd-desktop パッケージは fedora-gnome パッケージをベースに構築されたもので、GNOME デスクトップにアプリケーションやその他のものをたくさん追加しています。
図 1 は Zeuthen によるものですが、このことをもっとうまく説明しています。
図 1. livecd tools のパッケージ間の関係
また Zeuthen は、将来他の正式な Fedora SIG (Special Interest Group) が、こうした RPM から派生した独自のディストリビューションを作成する際にも、これが役立つかもしれないと述べています。
図 2. 考えられる派生パッケージの構成
これは少し曖昧に思えるかもしれませんが、実際に皆さんが自分でいじってみると、この方法の利点を実感できるはずです。
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ベースを設定する
最初のステップは、Zeuthen の Fedora ホームページから livecd-tools RPM を入手することです。単純に livecd-tools-001-1.i386.rpm をダウンロードし、次のようにインストールします。
リスト 1. Live CD tools をインストールする
$ su - # wget -c http://people.redhat.com/davidz/livecd/i386/livecd-tools-001-1.i386.rpm # rpm -ivh livecd-tools-001-1.i386.rpm |
これで livecd-creator
コマンドが使えるはずです。このコマンドを何もオプションを付けずに呼び出すと、単純なコマンド・リストが得られます。
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